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マンハッタンでのレコーディング風景
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第20回 Speak low (2002/1,2合併号)
冬は喉を使う人種にとって最悪な季節です。
冬の間中、普段の生活でもタートルネックのセーターは離せませんでした。
特に今年は地球温暖化などで凍えるほどの寒い日は無かったように
思いますが、私にとっては「声が出ない!歌えない!」
という初めての恐ろしい体験をした冬でした。
歌いだして十余年経ちます。精巧な電化製品でも
ずっと使ってるといつか故障するように、ちゃんと
した発声で歌ってるつもりでも、こんな時が来るものなのだと、
完治した今やっと思えるようになりました。
しかし!歌うことだけしか能の無い私が、歌を忘れた
カナリアになった時、どれだけ辛かった事か・・。
いくら喉声で叫ぶように歌っても平気な、CATの生徒までもが
うらやましかった・・。
たった数日間の出来事でしたが、すごく長く感じて、
元通りになると信じてはいたものの、この恐怖感の記憶は
一生忘れないと思います。
でもこうやって歌えなくなって原点に戻った時、自分が
どれだけ音楽を愛していたか、人前で歌わせてもらえて
幸せか再確認できました。
そしてその頃、作家の友人が同人誌に書いていた文章を見て
痛く感動し、同感した言葉をみなさんも紹介します。
「人間はある意味では、一人ひとりがさまざまな不幸を
背負っている。しかしそうした現実を見つめ、立ち向かう
強さも持ち得ている。その一方で、それを妨げる弱さもまた
心の内に持っている。例えば、身勝手な欲望や甘えがそれで、
暴走する身勝手な欲望や甘えは、人との関係をぶち壊し、
自分自身の生活を荒らし、モノで埋めても埋めることの
できない空洞を心の内に作り出す。その空洞をモノや快楽で
ごまかそうとするからこそ、私たちは夢や希望を見失って
しまうのかもしれない〜中略〜こうした現実を打開するには
[夢]の力が必要である。自分の欲望や甘えに流されずに
辛さや苦しみの現実を見つめ、その上に立って自分と
より多くの人々の幸福のために何ができるのか。
狭い視野で眺めていると見えないことが広い視野で見つめ
直すことで見えてくる。私のためだけではなく、家族のため。
家族、親戚、友人のためではなく、町や国のため・・。」
夢を持って、素直な気持ちで
視野を広げて、身勝手な欲や甘えに走らず、精進していけば
道は開けるし、一生懸命さから出るエネルギーを受けて
周りの人々まで幸せな気持ちになれる、そう信じています。
時を同じくして、ある縁で養護施設の高校生の前で
歌う機会に恵まれました。
終了後、一緒に演奏した寡黙なミュージシャンが
「僕らがどんだけ汚い人間かというのを思い知らされた」
とつぶやきました。
みんな一生懸命聞いてくれ、踊ってくれ、歌って笑って話して
くれました。もう本当に素直なのです。
身勝手な欲なんかとは縁遠い人たち・・。
去年日食で歌ったときに見た、ジンバブエの子供達のように
澄んだ目をして、私たちが来るのを心から楽しみに
待ってくれてたようです。
一番感動的だったのは、自閉症でみんなと行動できない、言葉をも
持たない男の子が、私が歌った「星に願いを」を部屋で聞いて
会場のすぐ外の階段の所まで来てくれ、そこに座ってその後の
曲も聞いてくれました。そして、帰るとき、もうとっくに寝てしまった
子もいるのに、彼はベランダから私たちに見えるように
何度もえびのように飛び跳ねているのです。
うれしさの表現なのだと聞いて、「来てよかった」と心から思いました。
手を振ると、はにかみながら、振り返してくれました。
そして、ボランティアのお礼にと、みんなの手作りの音符の模様が
入ったマグカップなどをプレゼントしてくれ、感激しました。
こうしたたった数時間のふれあいでしたが、
日頃の心の汚れを洗い流してくれ、勉強させてもらいました。
この2ヶ月、冬ごもりの間に貴重な体験をし、春を目の前に
心の栄養を蓄え、リフレッシュできました。
こんな想いを胸に「夢」に向かって新しいCDの
レコーディングに臨みます。
今回は今までと違い、JAZZという
形態を基本に、とらわれない選曲、アレンジ、
プレイまで、みんなの力を借りつつ、自分で納得するまで
がんばるつもりです。
静かに、熱く、時に激しく、聞いてくださるみなさんのハートにスーッと溶け込んで
癒したり、活力が沸いてくるような大人のJAZZを
歌いたいと心より願っています。
今回の曲は、今までの熱唱タイプの歌手を
卒業して、渋い大人のJAZZに
目覚めた私が選んだ、♪愛を静かに素早くささやいて、と
歌う曲です。タイトルソングになる予定。
♪Speak low
Speak low daring, speak low
I feel wherever I go
Time is so old and love so brief
【大意】
愛を語るときは優しい声で。
愛を語るときは静かに話して。
私はどこにいても感じるの。
時はどんどん過ぎ去って古くなり、恋もあまりにも儚く短いわ。
時すでに遅く、私たちは遅れてるのよ
待ってるのよ、貴方のことを。
2001年2月 吹田の自宅で冬ごもり中のyakkoでした
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