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Lyra Records LRHL1003
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Lullaby of Muses
甲斐恵美子(p),
シュウミン(二胡),
井上信平(fl),
辻邦博 (g),山田晃路(b),吉尾公弘(ds),
中谷泰子(vo)
2003年5月に打ち上げ予定の宇宙科学研究所の小惑星探査ロケットMUSES-Cの
4年間の旅を甲斐恵美子が11曲の組曲で表現した大作です。
プロデュース; 尾久土正己
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矢野 創(やの・はじめ)
(文部科学省宇宙科学研究所・惑星研究系助手、MUSES-C理学チームスタッフ)
またMUSESとは、日本の科学衛星・惑星探査の中心を担う、文部科学省宇宙科学研究所 (ISAS)が独自開発したミュー型固体ロケットによって打上げる技術試験衛星 (MU-Series Engineering Satellite)のコードネームでもある。故糸川英夫博士 による日本初のロケット「ぺンシル」の開発にその起源を持つISASは、1970年に 日本初の人工衛星を打上げた後、現在もほぼ毎年一機の割合で、宇宙望遠鏡や惑 星探査機を打上げ、数々の世界に冠たる科学的成果を挙げている。
このアルバムは、そんなMUSES計画の第3弾である「MUSES-C(ミューゼス・シー)」 探査機が、地球を出発して「星の王子さまのふるさと」である小惑星を訪ね、世 界で初めてそのかけらを地球に持ち帰るまでの、4年間の宇宙の旅にインスパア されて製作された。きっかけは、Lyraレコーズ社長でみさと天文台長の尾久土正 己と筆者が共同代表で行った、2001年のしし座流星雨の観測のインターネット生 中継の報告会の席で、筆者が尾久土とボーカリストの中谷泰子にだめもとで「 MUSES-Cを応援する曲を作ってもらえないか」と水を向けて、MUSES-C計画の全貌 を熱く語ったことに始まる。過去数年日食や流星雨のインターネット生中継のテ ーマ曲を手がけてきた尾久土はそれを黙って聞き終えると、では4年間の旅のハ イライトごとに曲を作り、一枚のコンセプトアルバムにまとめようではないか、 と快諾してくれた。
さっそくライブ会場やメイルでコンセプトを議論していく、翌年2月には、 尾久土、中谷と本アルバム全曲を作曲したピアニスト、KAI, Emikoを宇宙研に 迎えて、総合試験の真っ只中の、実際に宇宙へ飛ぶMUSES-C探査機を見ていただき、 イメージをインスパイアして頂いた。そうして9月には、東京・北葛西のICC Studioでの真夜中の録音にも立ち合わせて頂き、音楽家によって解釈された惑星 探査がメロディに乗って、つむがれていく様を目の当たりにした。それは本当に 感動的な光景で、分野は違っても、個々に実力を持ったプロがチームワークで新 しいものを創造する現場という意味で、MUSES-C探査機の製作や試験現場との類似 点をたくさん発見した。そうして、今皆さんのお手元に届くのである。
スタンダードやジャズの世界には、”Stardust” や“Fly Me to the Moon” など、宇宙に愛を託した名バラードも少なくない。またアポロ計画の有人月面 着陸や、太陽系の惑星や衛星を次々に訪問したボイジャー探査機に影響を受け た楽曲も古今様々ですし、SF映画のスクリーン音楽も数多く世に出ている。しか し、実在の惑星探査機の打上げから地球帰還までのプロセス全てにオリジナル曲 を書き、組曲にまとめ上げたコンセプトアルバムは、世界でも類を見ない。しか もこれは ISASが依頼した公式テーマ曲ではなく、MUSES-Cミッションが目指す科 学目標や探査の課題にチャレンジする姿に共鳴した音楽家・KAI, EmikoとLyraレ コーズ社長・尾久土正己が自発的に企画なさった、いわば「草の根からの惑星探査 への応援歌」なのだ。MUSES-Cに携わる科学者として、また一ジャズファンとして、 率直にありがたいことだと心から感謝したい。 (後略)